荒川ふたたび [フィギュア女子シングルFP]

ああよかった、何度見てもいい演技だわー。

つかライブでは入れ込みすぎて、冷静には見てられなかったんだけどね。


ショートプログラムの成績昇順に6人のグループに分け、
その中でくじを引いて決めるフリープログラムの滑走順。
その最終グループ6人の中に日本人が2人もいるという奇跡。

ショートプログラムが始まる前だったと思うが、NHKの有働アナの
「フィギュアで団体があれば日本が金メダル間違いなしなんですけどね！」
というようなナイスな発言にその時は笑ったもんだが、
今日演技が始まる前は、弱々しくもそれにすがりつきたくなった。

もういい、フリーいい、ここで団体に変更して日本金ってことで！ね！

まあそんな身勝手な祈りが通じるわけもなく。
粛々と競技は始まり、着々と演技が続いていく。

胸が締めつけられるような14番の安藤の演技が終わり、
20番コーエン、21番荒川、22番村主、24番最終滑走がスルツカヤという大一番が始ま

…ったところで早速コーエンがジャンプで大コケ！しかも2度も！
あの飛行機みたいに両手を広げて片足で滑るスパイラル
(あコレコレ！エキシビションのだけど。コレはSPの）
コーエンのあれが好きなんだけど…結局なんだかなという感じで終わって残念。

しかし正直コーエンが崩れるのは想定内。
彼女には勝てると思っていたので残念なりにもやっぱりな、という気分だった。
それよりも目前であんなゴロゴロ転んで荒川選手に変な影響が出やしないかというのが
気掛かりでしょうがなかったのだった。ごめんねサーシャ。

でも素人の心配なんか余計でしたねー、
夜のニュースで確認したら、他者の演技なぞ全く見ずに集中してたらしいね。
でっかいヘッドフォンつけて鋭い目つきで動物園のくまさんみたいにウロウロしてたや。
なに聞いてたのかなー、やっぱりトゥーランドットなんだろうか。

さて恐れおののきつつもとうとうヒロインの出番。
左右の身頃の色を変えて縦のラインを強調するクールブルーの衣装。
氷のように光をキラキラとはね返す衿元の飾り。
高めの位置でキリリと結ったシニョン。
うん、今日はらしく凛々しくアジアン・ビューティですな！

今日も早速コンビネーションジャンプでぐらっときてハラハラさせられるが、
3-2に切り替える相変わらずの冷静な判断で転倒は回避。
さらにハラハラと見ていると言うんだ刈屋アナがまた、
「さあここからの2分15秒が、荒川静香、長野から8年の想い」

…泣いてどうする！見なきゃ！

リンクの上の彼女はあくまで優雅に、気品をただよわせて舞う。
技術的なことは分からないけど、一部の隙もなく美しかった。

点にならなくても自分らしいの演技のためにと復活させたイナバウアー。
多分その分も無理をして、点を稼ぐために後半に入れた3連続ジャンプ。

後半のジャンプは得点が1割増になるのだという。
それはつまり、それだけ疲れていて大変ってことだよね？

ややもすると得点の高い技だけ披露すれば勝ててしまうという新採点法の中で、
美しく、自分らしく、その上で勝てる演技。
ああこれが答なんだ。彼女はずっと探していた答を見つけたんだな、と思った。
一点の曇りもなく迷いのない姿は最上級のダイヤモンドのように綺麗で、…

「パラヴェーラ、初めてのスタンディングオベーション！」
……っ…


さて真打ちは最後に出るものよ、とばかりに現れた最終滑走者スルツカヤ。
ようやく落ち着いた私は冷静に考える。
彼女さえ振るわなければ荒川が金か…。

…。

まあそんなことはね、…あああっっ！ゴメン！

思わず自分の呪いのせいかと謝っちゃうくらい、まさかまさかの転倒。
ショートプログラムの時はあんなものすっごかったのになんで！？


なんでもやる前から、自分の演技内容では荒川を抜けないと分かってたんだって？
スルツカヤが金を取れば
ロシアがフィギュア種目全ての金独占、という状況の中でそれでは、
…折れるよなあ。

練習の時から荒川をめちゃくちゃ意識している映像なんか見てるとせつないよね。
また荒川選手が完全にスルーしてるしー。

勝負はあの時点でもうついていた、んだな。


とにかくとにかく、
荒川選手金メダルおめでとう！ありがとう！
滑りきった時の笑顔は本当に本当に綺麗でした！