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トゥーランドット姫、中国出身・紫禁城部屋 [ニュースのこと]

注:これは2006年2月28日分の記事だったりします
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ただいまオリンピックおよびWBC、その他特別編成のため
時系列まるで無視してお送りしております。

ひとつきくらい経ったら正しい月日位置へ変更いたしますが、
コメントおよびトラックバックには影響がないようですので
みなさまぜひぜひご声援のほどよろしくお願いいたします。

荒川選手の金メダルの感動にうち震えた朝、iPodにトゥーランドットを探した。
その時に初めて、荒川選手が使った曲と
開会式でパヴァロッティが歌ったのが同じ「誰も寝てはならぬ」だと気付いた。

うわ!すごい運命的!

満員電車の中ひとりさらなる感動に包まれたものだが、
ネットを見たらば開会式終了後には報道された有名なお話だった。ぬぅ不覚じゃ!

しゅるしゅるとしぼんだ気持ちも夜のニュースでリプレイを見てすっかり復活、
その後もしばらくは「誰も寝てはならぬ」リピート生活。
会社の有線放送では11時半ごろ流れると気付いてからは
イナバウアー的ストレッチもしてるぜ!もちろん椅子に座ったままだぜ!

で、ふと思ったのだった。
氷の心を持つというトゥーランドット姫のオペラ、
一体どういう話の流れで「誰も寝てはならぬ」ことになるんだ?

そう思って調べたら、意外な事実が。
あのオペラの舞台は中国で、
トゥーランドット姫は紫禁城に住む姫君なんだって?えええ!

私ずっと北欧らへんかアラビア辺りのお姫さまかと!
だって名前が!漢字で書けるような名前じゃないじゃん!

…もしかしてこれも私だけが知らない周知の事実かも、という疑念は消えないが
無視して話を進めることにする。まあちょっと付き合っておくれよ。


もともとはアラビアからペルシャにかけてみられる「謎かけ姫物語」という系統のお話で
それをヨーロッパに紹介したのがペティの『千一日物語』。
その中の一作を原案として生まれた戯曲が「トゥーランドット」で、
そこから派生したオペラは確認されているだけで12人の作曲家が作っているのだという。
西洋人にはそんなに魅力的なネタなんだな。シノワズリーってヤツですかね?

1710〜12年、ペティ・ド・ラ・クロワ『千一日物語』「カラフ王子と中国の王女の物語」

1792年、ロ・ゴッツィ/戯曲「トゥーランドット」
↓                     ↓
プッチーニ/オペラ「トゥーランドット」  シラー/戯曲「トゥーランドット」(独語版)
                       ↓
                     ウェーバー/オペラ「トゥーランドット」

時代設定は架空らしいのだけど
紫禁城といえば明(1368年〜1644年)および清(1644〜1912)時代の宮殿。
また実際に紫禁城内の特設ステージで上演されたことがあって、
その際の時代考証は明だったということから明代の王女とするならばフルネームは
「朱 杜蘭朶」
ということに…なるのかな?

中国語ではトゥーランドットを『杜蘭朶』と表記するようなので上のように書いてみたが
外来語も音や意味から近い漢字をあてる中国のこと、これもなんとなくソレくさい。

だいたい「トゥーランドット」という名前自体、どこで誰がつけたか確証がないらしい。
残っていたペルシア語の似寄りのお話には「トゥーラン国」という名があるばかり。
ペティが参考にした原典が残っていないのでなんとも言えないが、
彼がその国の名前を生かして勝手につけちゃったんじゃないかなー、
というのが識者の見解のようだ。へええ。

そういうの聞くと、合ってるの合ってないのなんてまいいか、という気になりますな。
トリノで起きてることをほぼ同時刻に体験できちゃう現代では起こりえない類の浪漫、じゃない?

いろいろな人の手を通じて届けられた、一冊の本。
そこに綴られるのは絢爛豪華な宮殿に住む、遠い遠い東の国の物語。
あの透けるように美しい中国磁器に似た、鈴の音のような響きを持つ異国の名前。

うん私でもそのままつけるや。リスペクトだ。

ただし「踊る大捜査線」でいうところのスリーアミーゴズ、
お笑い担当のご家来衆の名前が
「ピン」「ポン」「パン」っていうのですっかり台無しだけどな。
これはいったいどうして…。

さてでは西の国の人々を熱狂させたらしき物語、あらすじを追ってみましょう。
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絶世の美女トゥーランドット姫に一目惚れした放浪中の元・王子カラフ、
姫が求婚者に出す謎解きに挑戦することにする。
3問答えられたら結婚するが、答えられなくば斬首の刑というもので、
実はさきほどもペルシアの王子が処刑されたばかり。
その処刑の様子を見にきた姫に心奪われてしまったのだった。

祖国を追放されたのち、ようやく再会したばかりの盲いた元・国王の父と
カラフに思いを寄せる召使いリューが止めてもおかまいなし。

しかしお見事、姫の謎を3つとも答えてしまったカラフ、
姫が結婚などしたくないと皇帝に哀願するのを見て、逆に姫に謎を出す。
「明日の夜明けまでに私の名を答えれば、私は潔く死のう」

街中に姫のおふれが下る。
「今宵は誰も寝てはならぬ、求婚者の名を解き明かすことができなかったら住民は皆死刑」
カラフは歌う。
「姫も冷たい部屋で眠れぬ一夜を過ごしているに違いない。だが勝つのは私だ」

ようやく、カラフの顔見知りらしいと城に連行されてきた父王とリュー。
だがリューは拷問にも口を閉ざし、衛兵の刀を奪い自害してしまう。

リューの献身は姫の心を動かし、カラフの接吻は姫の心を溶かす。
カラフを愛し始めた姫に、彼は自分の名を明かす。

求婚者の名前が分かったと全員が集められた中、玉座に進み出た姫曰く
「彼の名は、愛です」

ハイしゅーりょー。
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ああそうだ、オペラに内容なんか求めちゃいけないんだったな!
イヤでもそれにしたってそんな命をかけた謎が

「毎夜生まれては明け方に消えるものは?」     答:希望
「赤く、炎の如く熱いが、火ではないものは?」   答:血潮
「氷のように冷たいが、周囲を焼き焦がすものは?」 答:トゥーランドット

てどうよ、分かるかそんなもん!てゆーかなんで分かったんだカラフ!

いいたいことはまだあるが、いやもうそんなことはともかくとして、
流れが分かった上で聴くとまた違った味わいがある、ような気がするね。
そーか、だから誰も寝ちゃいけないんだー。


荒川選手の衣装がちょっとチャイナっぽい?という謎も解けたし、
長い長いヨタ話もこれにてお開き。
ご清聴、誠にありがとうございました。

参考サイト:やっぱりWikipediaがいちばん詳しくておもしろかったっすー。


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