法律ってなんなのさ [がんばれ一澤信三郎帆布！]

「一澤帆布のお家騒動」をネットのニュースで見るにつけ
愛用者としては心を痛めていたのだが
さきごろ社員さん、および信三郎社長のメッセージを読んで黙っていられなくなった。

なんで世の中、プロダクトに対する評価がこんなに低いんだ？


まずはこのバッグをご覧なさい。

エントリーNo.1、オール布でも自立する確かな縫製

内側はファスナー付き一面ポケット

逆サイドはペン指し・内ポケット(小＆一面)と整理上手

エントリーNo.2、遠足が楽しくなるバケツ型バック

こちらはファスナー付き内ポケットと

外ポケットと在りし日のタグ

買ったのはもうずいぶん前になるけれど
当時から開店30分で商品があらかたなくなると言われるほどの人気店だった。

これは電話で聞いて（！そうかまだネットない頃だ！）
ガリ版刷りみたいな手書きのデザイン画と
1.5cm角くらいのスワッチ（生地サンプル）を送ってもらい、オーダーしたのだった。

「出来上がりまでには大分お時間かかりますが…」
と電話応対してくれた方はたいへん恐縮なさっていたがなんのなんの、
多少待ったとしてもこれなら全然オッケーさ！

No.1は特に使い勝手がよくてねえ。
物は見つけやすいし収納力あるし、服もシーンも男女も選ばない型だよね。
大人のデイリーユースにはこれとか黒、カーキなんかもいいし、
明るい色で作ったら小学生のサブバッグとかにも可愛いだろうなー♪


おっといかん、ただのバッグ自慢になっていた。

あのですね、このように丈夫で使いやすい鞄を一生懸命作っていた人々が
「一澤帆布」のブランド名を使えなくなるという憂き目にあっているのだ。


2001年7月、「一澤帆布工業」の先代社長・信夫氏の死去から四か月後、
金づかいの荒い元銀行員の長男・信太郎氏が
市販の便箋にボールペンで書いた「遺言状」なるものを出してきたそうだ。

遠方に住み、金の無心の他には交流のなかった信太郎氏が持ってきた「遺言状」には、
赤字だった会社と先代社長を支え
25年間共に働いてきた当時の社長・信三郎氏への悪口が書き連ねてあり
見たこともない印鑑が押してあったという。

会社の顧問弁護士に預けた間違いのない遺言状があるにも関わらず
裁判所はその遺言書を無効といえる十分な証拠はない、という判決を下した。

信太郎氏は株主総会を強行、信三郎氏ほか全ての役員を解任。
新しい役員には信太郎氏と氏の娘、
「もう仕事はしたくない」と言って一澤を辞していた弟・喜久夫氏が選出された。

しかし事前に製造部門スタッフ全員を
別会社「一澤帆布加工所」に転籍させていたため新体制の影響を受けずにすみ、
彼ら職人は彼らが社長と信じる信三郎氏が起こした「株式会社一澤信三郎帆布」と共に
新たなブランド名「信三郎帆布」「信三郎鞄(※1)」を掲げて新たなスタートを切った、
というのがあらましのようだ。
※1　正しくは布ヘンに包むと書く（革でなく帆布製だから）
※詳しく、および正しくは加工所サイトのスタッフメッセージを参照してください。泣ける。


なんで？
なんで「無効とはいえない」ぐらいの遺言書で、
100年続いたブランドを、守ってしかも発展させてきた人の手から奪えるのさ？

どんなところにも悪いやつはいて、そういうヤツはどこまでも悪いさ、
昼ドラよりも滑稽な脚本も演じられるくらい面の皮が厚いさ。

だからって裁判所まで脚本通り踊らされてどうすんだよ！
それともお前らいくらか貰ったんか？

信三郎氏側のコメントしか読んでいないから公正さには欠けるかもしれないけど
ずっと一緒に働いてきた職人さんたち全員が、
信三郎氏についたという事実とこの商品を見れば十分だろう。そうは思わないか？

利益に走ろうと思えばできたはずなのに
京都のお店一店舗と通信販売での製造直売、
いいものをコツコツ作ってきた正しき職人さんたちが
どうしてこんな目に合わなくっちゃいけないのさ！
どうしてこういうメーカー魂を守ってやれないのさ！

こんな正義すら守れないで何が法律なんだよ、誰のための法律なんだよ！
大岡裁きはどこにいったよ！

ああもうまったく腹が立つ。
価値も分からない者に奪われた伝統のブランドと関係者の方が可哀想で仕方ないけれど
こうなってしまったからには新ブランドの未来に幸あれ、と祈りたい。

新しい柄もの鞄もかわいいぞ！

通販再開待ってるよ！一澤信三郎帆布サイト